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もう一度、を叶えるために。first

第4章 そうだ、修行をしよう



「動きを見るだけで真似できるとはな。素質があるんじゃないか?」

横からイタチの声が響いた。
わっ、隣にいるっ。
思わず、体が少し強張る。

「そりゃそうだろ。なんたって俺の妹だからな。」

兄ちゃんがそう言って頭を撫でる。
何だか、全身がむずむずとこそばゆい。
身の置き所がなくて、そわそわしていると兄ちゃんが少し笑った。

「そろそろ終わりにするか。帰りに甘味処でも寄って行くか?」

マジか!
行きたい!
私が目を輝かせて兄ちゃんを見ると、何故か兄ちゃんは少し意地悪そうな顔をした。

「お前は真っ直ぐ家に帰れ。今食べたら夕飯食べられなくなるぞ。」

ちょ、なっ、えぇぇぇ!?

確かに前にあった。
それで、母さんから大目玉喰らった。
けど、あれは後先考えずにたらふく食ったからだ。
同じ轍は踏まない!

「お兄様!大明神様!お願いします!一緒に連れて行ってください!」

私は両手を合わせて頼み込む。
行くと分かってるのについて行かない馬鹿がいると思うか!

「そして奢ってください!」

私はずずいと顔を近づけて兄ちゃんと目をかっちり合わせた。
絶対くっついて行ってやる!

「…ちゃっかりしてるな、お前。」

私の剣幕に、呆れた風に言って微苦笑を浮かべた。

「ふっ…。くくっ…。」

静かな笑い声がして振り向くと、イタチが手の甲で口元を隠しながら顔を少し背けて笑っていた。

あ、そうだった。
イタチがいたんだった…。

やっちまった、と思いつつ、まぁいっか、と開き直った。
別に想いを叶えようとは思わないから、どう取られようと関係ない。
私は誤魔化す様に頬を掻きながら少し笑った。

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