第4章 そうだ、修行をしよう
「…手首を回しすぎだ。」
兄ちゃんは自分のクナイを取り出すと、自然な動作で的へ投げる。
ストン!
いい音を立てて、ど真ん中へ当たる。
え?今どうやったの?
「ちょ、ちょっと待って。もう一回!」
私は的の周りに散らばっているクナイをかき集めて兄ちゃんの側に置く。
そして、今度は兄ちゃんの右側に立った。
「いいよ。」
兄ちゃんに合図する。
一本目。
ストン!とまたど真ん中に命中。
何となく動きが分かったかな…。
二本目。
手首の動きに注目する。
あんまり大きく回していないのかも。
腕や肩も連動して全体的に動かしてる感じ。
三本目。
手首の動き、肘、肩、体。
全部が最小の動きで流れるように動いている様に見えた。
ちょっと分かったかも。
「やってみる。」
手首の動きを意識しつつ、体全体を使って、且つ無駄な動きを省く。
一本目。
外れた。
もっと流れる様な動きになる様、意識する。
二本目。
的外だが、木に刺さった。
三本目。
ストン!と小気味いい音と共に、外側丸三つ目に命中。
うん、掴めたかも。
「掴めたか?」
「うん、ありがと。ちょっと動かし方が分かった。」
明日からの練習に役立ちそう。
私は忘れない様に頭の中で動きを反復する。