第17章 うちはの里を作っちゃおう2
その日の夜、シスイは珍しく夜更けに揺すり起こされた。
「…ん…?エニシ…?」
「シスイ、話があるの…。」
「ユキ、か…?」
シスイの小さな問いかけに、こくりと頷いたの見て、彼は身を起こした。
「本当は言おうか言うまいかと迷っていたんだけど…、これだけ事が順調にいっているのがとても怖くて…。」
「どういう、ことだ?」
上手くいっているのだから問題ないように思うのだが、ユキはそう思っていないようだ。
「奈落の底に突き落とされるのが、決まってこういう幸福の絶頂にいる時だからよ。」
眉を顰めるユキの手は、震えるように握りしめられている。
「私…いいえ、私もエニシも、あなたに言っていない事があるの。」
そう言って、ユキは震えると息を細く長く吐き出した。
「あなたは一族のクーデターを止めようとして、ダンゾウという男に万華鏡を奪われるわ。そして、イタチに自分を殺させて命を終えるの。それを夢で見た事があるわ。」
“最も親しい友を殺す事”。
いつかのエニシの言葉が蘇り、シスイは息を呑んだ。