第17章 うちはの里を作っちゃおう2
兄ちゃん達は戻って早々にフガクさんの所に行ったらしく、戻った翌日に会合が開かれたみたいだった。
上手くいくといいな…。
私は私でやることがあった。
まずはテンゾウさんと先生に報酬を渡すべく待ち合わせ。
お金のやり取りだから人がいない方がいいだろうって事で、先生がよく修行で使う場所が選ばれた。
それがこの断崖絶壁エリア。
見覚えあるんだよね、ここ。
「やっぱりあの時見たのは先生だったんじゃ?」
「よく覚えてるね。あの時は林檎ありがとね。」
「どういたしまして。っていうか、本当に恐ろしい修行してるんですね。」
そう言ったら、先生の顔が渋くなった。
「”本当に”ってことは、もしかして俺の修行風景も描かれてたり…?」
「あったり〜。」
「うわ…。嫌だな、それ。」
嫌そうだけど、ファンには普段の先生の貴重映像なんですよ。
「友達の間では割と好評だったんですけどねぇ。」
「お前も映像で流されればいいのに。」
「残念〜。私はその他大勢であるモブ役なんで、名前すら出てきていませ〜ん。」
あっはっは、って笑ったらべしってはたかれた。
その時、テンゾウさんが木からすたっと降りてきた。
「ごめん、ちょっと遅かったかな。」
「大丈夫ですよ。私達もさっき着いたんで。」
「良かったよ。でも先輩が時間通りって珍しいですね。」
え、テンゾウさんとの待ち合わせも遅刻してるの?
「お金のやり取りだからな。トラブルは避けるに限る。」
「うん、あの…。どんな待ち合わせでも時間は守りましょうね。マナーですよ、先生。」
遅れる理由は知ってるけど、それにしたって遅刻はアカン…。
「…もしかして、その理由も…?」
先生の困り顔に、若干気まずくて視線をちょっと逸らした。