第17章 うちはの里を作っちゃおう2
「…記憶を思い出して暫く経った時にふと思い至ったの。あぁ、私、何も返せない内に死んじゃったんだなぁって。」
叔母ちゃんに恩返ししたかった。
育ててくれた、大事にしてくれた恩を…。
「だからってわけじゃないけど、今の家族には後悔を残したくないし、いいものはいい、悪いものは悪いって言いたい。おばあちゃん達がそうしてくれたように。」
何でも相談したし、何でも真剣に考えて返してくれた。
腹の探り合いなんてなくて、顔色を窺う必要もない。
今思うとそれってとっても幸せなことだったんだよね。
「そうか…。この場所は、お前の強い思い入れがあるんだな。」
先生の言葉に、いつの間にか”由紀”になってたことに気がついて”エニシ”が戻ってきた。
「そう…。そうです。私はただ家族を守りたい。家族が大事にしている一族を守りたい。”私”が望むのはそれだけです。」
そう言うと、みんなの空気が柔らかくなった気がした。
「それじゃ、明日も頑張るために休みますか。」
先生の言葉にみんなが寝袋に入る。
それを見届けてから、先生がランプを消してくれた。
「おやすみ」とみんなで小さく言い合って目を閉じた。