第4章 そうだ、修行をしよう
「……。」
何故でしょう?
いくら練習しても精度が変わらないんだけど。
私は遂に手を止めた。
何がいけないの?
時々、打ち合う二人をこっそり盗み見るも、動きがさっぱり分からない。
カッ!
音がして、後ろの木を見上げると、クナイが突き刺さっていた。
兄ちゃん達を見ると、まだ打ち合いやら術の応酬やらをやっている。
多分、流れ弾だな。
私は足裏にチャクラを溜めて木に登り始めた。
慎重に一歩ずつ…。
刺さったクナイの側に行きしゃがんで見ると、真っ直ぐしっかり刺さっている。
試しに引き抜こうと思ったけど、びくともしない。
何であんな遠くからこんなしっかり刺さるんでしょうか…。
心底疑問です。
「エニシ、それ取ってくれ。」
声に釣られて下を見ると、兄ちゃんがいてこちらを見上げていた。
私はクナイに視線を落とし、落ちない様に足裏に注意しながらクナイを両手で掴む。
グリグリグリ…
クナイを左右に揺らしながら徐々に刃先を抜いていく。
すぽんと抜けた。
ふぅ。今日は落ちずに済んだ。
私はそろりそろりと下っていく。
飛び降りる事が出来る距離の所で、木からジャンプして降りた。
兄ちゃんにクナイを手渡す。
「はい。」
「ありがとう。」
兄ちゃんは受け取ったクナイをホルダーにしまう。
「的当ては出来るようになったか?」
「ゔっ…。」
痛いところを突かれた。
兄ちゃんは近くの的を見る。
落ちたクナイ六本、辛うじて刺さっている一本。
「…あれが成果か?」
私はそっぽを向く。
恥ずかし過ぎる結果である。
「ソウデスネ。」
棒読みで答えると、兄ちゃんは少しため息をついた。
「お前、一回投げてみろ。」
「何で?」
「いいから。」
私は言われた通り渋々投げた。
クナイは投げた瞬間刃先が斜めを向き、的に当たらず落ちてしまう。
こうなると思った。
さっきから、ずっとこんな調子だ。