第17章 うちはの里を作っちゃおう2
最後に兄ちゃんの番になった。
「そこ、もうちょっと強く。」
「そこは軽くでいい。」
「そこ、何だか外れてる気がする…。」
身内だからか、めちゃくちゃ注文が多い。
その分、データが集まるからいいんだけどね。
思わず、最初の遠慮はどこ行った?って喉元まで出かかったよ。
「終わったよ〜。」
声をかけると、ぼうっとしていた目が焦点を結び、手をグーパーして感触を確かめ始めた。
「…うん、大分いいな。」
「よっし、終わり〜。さて…」
「ほら、手を貸せ。」
「わっ…!」
立とうとしたとこで、手を取られて元の位置に戻された。
両手をで包み込まれるように右手を握られて、力強い塩梅で揉み解されていく。
「お〜気持ち〜。」
どうやらお返しをしてくれるらしい。
「やっぱり手だけでも違うね〜。」
「案外と簡単だな。」
えー何それ、もう覚えたの?
「…兄ちゃんのもの覚えが早い説。」
「なんだそりゃ。」
「その才能を活かして是非とも…」
「やらない。」
「まだ何も言ってないじゃん。」
「ろくな事じゃないから真面目に聞かない。」
「けーち。」
辛口な事を言いつつも、兄ちゃんは両手をマッサージしてくれた。
「ほら、出来たぞ。」
「ありがとう〜。」
私は体を伸ばしてから軽く柔軟体操をする。
これをやると安眠効果があるのさ。
私が終わったところを見計らった先生が立ち上がる。
「さて、じゃ寝るぞ〜。」
「は〜い。」
先生がランプを消すと辺りは一気に宵闇に包まれる。
断続的に虫の声が響き、それを聞きながら段々と眠りに落ちていった。