第4章 そうだ、修行をしよう
キン!キン!
パシ!ガッ!
ボォォォ!
ドン!
…これ、本当に子供同士の模擬戦なんでしょうか?
兄ちゃんは十歳。
下忍だし。まぁ、なくはない…かな。
(え?なくはないのか?)
けど、イタチは六歳。
六歳ですよ?
私よりも一つ年下なわけでですよ。
ありえなくね?
動きは目で追うのがやっと。
忍具捌きは精巧で的確。
合間に繰り出す忍術は、いつ印組んだの?ってくらいタイムラグはない。
そして規模がデカい。
豪火球の術なんて、大人すっぽり入っちゃうよ?
何か、ちまちま的当てなんて練習している自分が馬鹿らしくなる。
と、同時にめちゃくちゃ焦った。
少なくともこのレベルまで到達しないと話にならないって感じだよね。
でないと、私の言ってる事って現段階では絵空事に成り下がるわ…。
「ほら!手が止まってるぞ!」
兄ちゃんの声と共に凄いスピードでクナイが飛んで来て、私は慌てて自分のクナイで叩き落とす。
…私、実の妹でございますよ?お兄様…。
下手したら怪我してたよ…!
飛んで来た方向を見ると、にやりと笑った兄ちゃんと目が合った。
…性格悪っ!
「余所見とは余裕だな、シスイ。」
イタチが兄ちゃんの隙を狙い、拳を打ち込んだ。
兄ちゃんはギリギリで回避する。
「……!っと、危ない危ない。」
イタチはそれを見て、楽しそうにふっと笑う。
「……。」
か、かっこいいなんて、思ってないんだから!
私は気を紛らわそうと、また的当ての練習を始めた。