第4章 そうだ、修行をしよう
「今日はここだったのか。」
声がかかり振り向くと、兄ちゃんが歩いて来た。
その少し後ろにはイタチが…。
私は、どきりと胸を跳ねさせた。
諦めるとは決めても、そう簡単には切り替えは難しいらしい。
今日はここで修行するのかな。
「あ、使う?退くよ。」
…声が裏返らなくてよかった。
私はいそいそと道具を片付け始める。
「いいさ。そう狭くもないからお前ももう少しやってろ。」
兄ちゃんはそう言うと、イタチを見た。
「いいよな。」
私も釣られてイタチを見る。
「あぁ、構わない。」
いいのか。
普通、修行するところって見られたくないものじゃないかな…。
まぁ、見てもいいなら遠慮なく見させてもらおう。
「ちゃんとやれよ?」
私の思考を読んだかの様に兄ちゃんが言う。
あれ、口に出てた?
いや、出てない筈…。
「口に出さなくても顔に出てるぞー。」
兄ちゃんは、準備しながら呆れた声を返す。
何故分かる!?
「エスパーだ!」
私が大袈裟に驚いて見せると、兄ちゃんは今度こそ呆れ顔を向けた。
「訳の分からない事言ってないでさっさとやれ。」
「…へーい。」
私は仕方なく、クナイや本を広げ直した。