第17章 うちはの里を作っちゃおう2
テンゾウは会話の流れから、ここ最近のカカシがの行動を思い出す。
「この間って言うと、うちはマダラについての調査のことですか?」
「まあね。」
「あれにも驚きました。実はまだ生きていてうちはを扇動しているかもしれな…。…ごめん、失言だった。」
はっと気づいたテンゾウが素直に謝罪すると、シスイとイタチは揃って首を振る。
「いいえ、俺達はそれを止めたくて今ここにいるんですから。」
シスイは苦笑を返した。
「俺も同じです。一族を災禍の火種にはしたくない。その為なら、出来ることは何でもする。」
―例え不確かな賭けだろうと、少しでも可能性があるならば…。
イタチはぎゅっと手を握りしめる。
カカシはそれに気づかない振りをしながら、外を見た。
整地をしたおかげで見晴らしがいい。
「そうだな…。ま、だからこそ、エニシだって我武者羅に頑張ろうとするんだろうさ。」
「出来得ることは何でもやりたい、その一心なんだね。」
テンゾウはすやすやと眠るエニシの寝顔を眺めた。
こんなにも真っ直ぐな子を彼は知らない。
健気でひたむきな様は、ついつい手を差し伸べたくなってしまう。
不思議な魅力がある子だと思う。
「ここを立派な場所にしよう。僕もやれる事はやるよ。」
―この子が守りたいと思うなら。
この子が望む一番の形で、守ったものに囲まれて過ごせるように。
「俺も勿論、テンゾウと同じだよ。」
―あの屈託ない笑顔が曇らないように…。
「…ありがとうございます。エニシはいい先輩達に恵まれましたね。」
シスイは二人の厚意を感じ取り、ふっと肩の力を抜いた。
純粋に嬉しかった。
うちはに拘らなくてもエニシなら何処ででも生きていける。何かあっても安心して送り出せる。そう思えたから。
―例え俺がいなくなっても、エニシなら…。
一抹の寂しさを覚えながらも、少し肩の荷が軽くなった気がした。