第16章 幕間
「うへえ〜、鼻かゆ。…くしゅん!」
「お手玉だけかと思ったら…はっくしゅっ…!とんでもない物仕込んでたな。」
二人は、ぐぐぐっと腕や足を縫い止める様に取っ組み合う。
「へへ〜んだ。これでマスク替えざるを得ないですよね〜。」
「まったく、サカキまで巻き込んで。お前の執念には恐れ入るよ。」
ずずずっと鼻を啜る二人に、念の為にとダメ押しのもう一つの胡椒玉を投げ込んだ。
「「はっくしょん!!」」
もわもわと二人を覆う胡椒に、益々くしゃみが止まらなくなり、涙さえ浮かべている。
ここまでやればさすがに目的は達成出来るだろう。
そう思った時、
ボボン!!
素早くエニシから抜け出たカカシさんが、煙玉の煙幕に紛れて姿を消した。
「あれ!?」
エニシが持っているのは丸太だ。
どうやら身代わりの術で凌いだらしい。
彼女は気づくと同時に、丸太を投げ捨てて影分身と共に一斉に煙幕の中へと飛び込んだ。
だが、それでは悪手だ。
俺は反対に煙幕から外へと抜け出して、影分身を一体潜り込ませた。
「四時の方向だ!追え!」
俺の声が木の上から響き、同時に胡椒玉がその方向への投げられる。
当たったのだろうか、くしゃみの音が聞こえた。
それを頼りに、俺は風遁で煙幕を払いにかかる。
だが、いかせん威力が弱い。
俺は雷遁を得意とする。故に、隣り合う性質の風遁は二の次となってしまう。
その為、煙幕を完全には払いきれない。
だが、視界は大分いいだろう。
エニシの影を捉えた俺は、追従する様に走り出した。
すると、ぼんやりとカカシさんの影が二つ。
エニシが左に飛びかかったのを見て、俺は右に飛びかかる。
拳、足技、膝蹴り、肘打ち、掌底などなど。
威力が良く、急所は的確で、動きに無駄がない。
流石の一言に尽きる。
「……っ!!」
結局は俺も投げ飛ばされて、距離を取られて見失ってしまった。
すると、
「ふごっ!?」
「……!?」
何処からともなく、水が大量に撒かれた。
おそらくは水鉄砲の術だ。
エニシは喰らったのだろう。俺は既の所で避けることが出来た。