第16章 幕間
「今日はどうするんだ?」
「私、この間花粉症の人見て思ったんですけど。マスクしてても、くしゃみしたら新しいのに代えますよね?」
「まぁ、そうだな。ずっと付け続けはしないかな。」
「そうですよね。くしゃみや咳を頻繁にした場合、マスクって替えざるを得ないと思うんですよ。そこで、コレです。」
差し出されたのはお手玉の様な小さな袋状の物で、何やら薄く煙が出ていた。
「何だ、これ。」
「胡椒です。これをばら撒けたら手っ取り早いかな、って思うんですけど。」
「…どんな状況だよ、それ。」
「それなんですよね〜。どんな状況になったら胡椒ばら撒けるかな。」
「つーか、マスクの上から胡椒って通るのかよ。」
「それが、パウダー状の物なら貫通することが分かりました。くしゃみが止まらなくなりまっせ〜。」
けけけ、と可愛くない笑い声で、意地悪そうにエニシは笑う。
「一つだけか?」
「他にもあります。」
そう言って、ポーチに刺さっている巻物をぽんぽんと軽く叩いた。
仕事中に何を持ってきているんだか…。