第16章 幕間
暗部に新しい顔ぶれが入った。
うちはシスイとエニシの兄妹だ。
うちは一族と言えば、傲慢でプライドが高く独りよがり。加えて排他的なこともあり、とっつきにくい奴が多い。
今度の奴もそうだろう。
そんな風に思っていた。
だが…。
「おはようございまーす。よろしくお願いします。」
班の顔合わせの度にそう言って入ってくる妹の方は、最初の印象から、まるでイメージがガラガラと崩れていった。
少し鈍いところはあるものの、愛嬌があり、人懐っこい。うっかりが時々あるものの、よく周りを頼り、人の意見もよく聴く。
本当にうちは一族なのかと最初は少し驚いた。
兄の方はまぁ…イメージ通りだったが、話してみると気さくだな、といった好印象。
妹の影響も大きいのだろう。
そして最近、その妹がよく声をかけてくる。
「サカキさん、サカキさん。」
にんまりと笑いながら俺に頼み事をしてくるのは茶飯事となりつつある。
「…お前、またか?」
「イエッサー。今日も挑戦したいのであります!」
「カカシさん相手に無謀だぞ。」
「いや〜、それでも諦めきれんのですよ〜。美人だって分かっているからこそ尚更。一度はご尊顔を拝んでみたいじゃないですか。」
「…そのうち怒られるぞ。」
「気の長い人だと思うから、一日一回くらいなら許されるかな〜って…。」
少し悪びれながらにかっと笑う様は、正直可愛らしい。
こういうところが、人懐っこいと思える所以だ。
「しょうがないな。手伝うだけだからな。」
「ありがとうございま〜す!」
毎度の如くカカシさんのマスクを外して素顔を拝もうと企てしてくるのだ。
最初は自力で頑張っていたが、少しも歯が立たないと分かるや、周りを巻き込み始めた。
大体は、休憩時間の合う奴らが標的となる。