第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「で、先生は何ともないんですか?」
「俺は何ともないよ。」
「それは良かった。それで、こいつどうするんですか?」
「勿論、里に連れ帰って処罰する。規律違反だし行動があまりにも行き過ぎてるからな。」
「言動もね。クズの極みですよ。」
「…相当ご立腹だね、こりゃ。」
「当たり前でしょ。なんすか、『人のもの』って”もの”って!先生を何だと思ってんだ、コイツ!」
嫉妬からくるものじゃない。
コイツのあのセリフは所有欲だった。
まるでひとを持ち物みたいに!
「あ、そっちなんだ。お前のことはいいの?」
「言いたいなら好きなだけ言わせとけばいいんすよ。馬鹿は何処にでもいるし。でも先生のことは別よ。一ファンとして許せない。殴り足りない。」
そう言ったら、先生は何故か少し驚いたあと、吹き出してそのまま腹を抱えた。
「くくっ…!成程?これでも手心は加えたと?」
「えぇ、大分手心加えましたとも。死なれても困るし。」
「お前は面白いわ。」
「面白くない!ちょっとは怒ってくださいよ!」
「怒ってるさ。お前を出来損ないなんてさ。何を見て言ってるんだか。」
「怒るポイントが違う!」
「ふっ…。違わないよ、これで合ってる。」
全く合ってないから!
もっと蔑ろにされたことに対して怒ってほしいのにちっとも通じない。
沸々と怒りのボルテージが上がっていくのを感じるわ。