第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「まさか、ナンパされてる?」
所謂、逆ナンか。
こんな時に?
「そうみたいだね。押しが強い人だとあぁやって押しかけて来たりするんだよ。」
もしかしてさ…。
「カカシ先生って女性不審になってたりします?」
「そこまでじゃないと思うけど、苦手ではあるんじゃない?」
うへぇ…。そりゃそうだ。
部外者に職場まで押しかけられたらドン引きもいいところだよ。
はあぁ〜…。
「困ったなぁ、傷を診たいだけなんだけど…。逆に何であの傷が目に入らないのかね。」
推しが怪我してたら心配するのが先でしょうよ。
ファンの風上にも置けないんだけど。
私は焦ったくってわしゃわしゃと自分の髪をかき混ぜた。
「テンゾウさん、出直しましょう。」
いつまでもここにいたら怒鳴り込みに行きたくなりそう。
いくらなんでもそれは自分にドン引きする。
「…いや、大丈夫そうだよ。ほら。」
その言葉に返した踵を止めて振り返ると、カカシ先生が話を切り上げているみたいだった。
「…話が終わった、のか?」
呟いたら、テンゾウさんが首を傾げた。
「切り上げたんじゃないかな。僕達にも気付いてたみたいだし。」
ふーん…。
って…、心なしかお姉様方の視線が鋭い気が…。
「よっ。診てくれるんだろ、これ。」
そう言って左腕を指差す先生。
いや、それよりも…。
「後ろのあれ…、大丈夫なんすか?」
これ見よがしにヒソヒソしてるけど。
「いーのいーの。はい、これよろしく。」
「まぁ、いいんならいいんですけど…。」
私は先生の左側に回って、傷に手を当てると集中する。