第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
それから、何となく線引きの垣根が低くなったテンゾウさんと少し話すことができた。
彼は休日に、建築の専門書を読むことがご趣味らしい。木工もやるみたいだけど。
…すごいよね。あんな小難しいものほんとに読んでるんだね。
「ねじやくぎを使わずに木を組み立てる技法が特に興味深くてね。」
「へぇ、そういうの使って格子細工とかも作るんですか?」
「まだ複雑なものは無理だけどね。少しづつ緻密な物も作れる様になってきてるんだ。」
「でも基本はもう大体網羅してるんでしょ?凄いですね。」
「まだまだ。僕はもっと色々なものを作ってみたいんだ。」
「そうなんだ。」
これは期待できるぞ。
木工技術は完璧っぽいから、家も作れるだろうし。
「ログハウス的なものって作ったり出来るんですか?」
「そうだね、小さいのを作ることはあるよ。」
よしっ!!
平然を装ってたけど、内心はガッツポーズを決めていた。
「凄い器用なんですねぇ。」
本当に凄いと思う。
手作業ではないとは言え、細部までその仕組みやら技法やらを理解してなきゃ出来ないぞ、多分。
「いや、そんな事はないよ。パズルを組み立てるのと同じ要領さ。あとは慣れの問題だね。」
そう言って、テンゾウさんは照れた様に笑う。
「なるほど。経験により熟練度が上がってくる、みたいな?」
「そんな感じかな。あ、ほら。先輩ならあそこにいるよ。」
テンゾウさんが指差した方を見ると、何やらニ、三人の女性に囲まれてる模様。
服装からして表の忍みたいだけど…。