第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「…先輩、随分あの子と仲がいいんですね。」
テンゾウは二人きりになったタイミングでカカシに問いかける。
「まぁ、色々とね…。それで、あの子の印象はどうよ。」
エニシの事情のあれやこれやは言わずにカカシが流れを変えると、テンゾウは素直に記憶を振り返った。
「そうですね…。うちはの子にしては雰囲気が柔らかい子というか。人懐っこい印象です。ただ、それは仲良くなった人だけの顔なのかな、とは思います。」
それは、仲良くしてみたいという意味ではないだろうか。
…とは思ったが、さすがに聞きづらいので、水を向けてみることにしてみた。
「…じゃあ話しかけてみればいいんじゃないの?」
「いや、いいですよ。遠慮します。先輩こそ、何であの子と仲良くさせたいんですか?」
―噂は強ち外れていないのか…?
カカシはテンゾウが人見知りとは思っていなかったのだが、こうも線引きするところを見るとやはり噂通りなのかもしれない。
それともうちはの名が悪いのか…。
まぁ、それはそれとして。
これでは、エニシに引き合わせるどころではなくなってしまうのも事実で。
ついでに言えば、自分が引き合わせたがっていると思われるのも衆目において分が悪い。
「別に?仲良くしてほしいなんて言った覚えはないよ?」
カカシは思いっきり惚けることにした。
だが、テンゾウは益々胡乱げに目を眇めるばかり。
「なら何で最近あの子と同じ班編成にするんですか?」
「さあ?何でだと思う?」
にっこりと笑って見せると、テンゾウは遂に顔を顰めた。
「…質問を質問で返すのは汚いですよ、先輩。」
「悪いな。ま、でも他意はないさ。幅広い人脈はあって損はない。そう思っただけだよ。」
―ここまでかな。
テンゾウにその気がないのなら仲良くなる事は難しい。
だが、自由にされた彼は一瞬困ったような顔になり、やれやれと渋い顔になった。
「…まったく。分かりましたよ、話してみます。」
そう言って立ち上がると、入り口の方へと歩き出した。
それを見送ってカカシはほっと息をつく。
「あとはエニシ次第、だな。」
呟くように言うと、彼も仕事へと戻っていった。