第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「あの、ありがとう。もう大丈夫だよ。」
一通り目を通していると、控えめに声をかけられた。
まだ緊張状態が切れてないのか、空気が強張っているみたい。
でも、それは専門外だ。
心配は心配だけど、引き下がるしかない。
「どういたしまして。」
さて、仕事に戻ろうかと思ったら、また空気がざわつき出した。
「エニシ、いるか?」
カカシ先生だ。
どうしたんだろう?
「リツがやられた。診れるか?」
「はい、大丈夫です。」
あ、れ…?
「先生も怪我してません?」
「俺は後でいいから。」
…そうやってまた自分のことを後回しにするんだから。
「後で診せてくださいよ。」
逃がさないぞ、とばかりにじと目で見上げたら、先生は苦笑した。
「分かった分かった。後で診てもらうから。」
「約束ですからね。それでリツさんは何処ですか?」
「ここに辿り着いて気が抜けたらしくてな。砦の入り口近くにいる。」
「分かりました。」
急がなきゃ。