第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
それから、任務でテンゾウさんの姿をよく見るようになった。きっとカカシ先生だね。
初めて間近で見た時は、まんま猫目の人なんだなってちょっと笑っちゃいそうになった。
でもね、小耳に挟んだところ、どうもテンゾウさんは警戒心が強いらしく、誰とも深くは関わろうとしないんだとか。
最初が肝心だからさ、しくじる訳にはいかないの。
そうなると、どうやって声をかけていいのか分からなくなる。
うーん、どうしよう…。
「おい、エニシ!ちょっと来てくれ!」
少し緊迫した空気のサカキさんから呼ばれて、慌ててついていくと、人だかりができているのが見えた。
「怪我ですか?」
「あぁ、テンゾウが殿を務めて負傷したらしい。」
テンゾウさんが?
人だかりに割って入っていくと、座り込んで腕や肩、足の止血をしていた。
周りの人も手伝ってるけど、手が届く範囲は自分でしてるみたい。
表情からは割と元気そう。
軽傷、悪くて中傷程度ってところか。
「診ます。」
私は真鱈に赤く染まったタオルをとり、一つ一つ傷を確認していく。
どうやら足が一番深いみたい。
私はすっと両手をかざして治療を始めた。
少し深いから塞ぐまでに十分は最低かかると思う。
その間にも状態を目視で確認していく。
背中を打ってるのか、何となく動きが可笑しい。
あとは…手を捻ってそう。
全部塞いだらそっちも診なきゃ。
順々に傷を塞いで、背中と左手を診せてもらってそっちも治した。
どうしても一時間近くはかかってしまう。
もうちょっと精度を上げたいところだけど、自力ではどうにもならないみたいで伸び悩んでる。
綱手様がいた時代は、もうちょっと医療術の認知や向上が活発みたいだったんだけどね。
今は本が中心で、人伝に腕のいい人に師事するのが一般的。
儘ならないわ…。