第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
これって一体何なんだろう。
肌身離さず持っていなきゃいけない気がするけど、この小さな変化は何となく不気味だ。
「それ、持っていて大丈夫なのか?」
あの時と反応がまるで違う兄ちゃんに少し苦笑した。
「多分、大丈夫だよ。一年持ってても何も無かったし。それにこれは手放したらいけないと思うから。」
持ってれば持ってるほど、その思いは強くなった。
私はまた首にかけなおして服の中にしまう。
「あ、そうだ!カカシ先生にもお願いがあったんでした。」
そうそう、思い出した。
いよいよ土地が決まりそうなのよ。きゃー!
今のうちに頼んじゃえ♪
先生は不審を前面に出して少し目を眇める。
「え…。お前からお願いとか不安しかないんだけど。」
「まぁ、そう言わずに。ヤマ…テンゾウさんと仲良いですよね?」
一瞬驚いた先生だけど、私の事情を思い出したらしい。
「…木遁か?」
「あったり〜。今度協力してほしいんで、紹介してください!」
そう言ったら、兄ちゃんは顔を引き攣らせた。
「もしかして…。」
「うちはの村起こしを手伝ってほしいんです。」
「エニシ!!」
横から被せ気味の大声が響いてびくってなった。
あ、あれ?ダメ?
「でもテンゾウさんはいい人だし、大工雇うよりぜんぜんいいよ。百人力!」
何せ、ばんばん家建てられちゃう人だし。
彼の協力があれば最短で整うよ。
「…せめて一旦俺に相談してくれ…。」
その一言で、ふっと自分の中にブレーキがかかる。
あー…。
そうだね、ちょっと暴走気味だったね…。
「ごめん、思いつきで喋ってた。」
兄ちゃんは首を垂れてため息をついた。
ごめんて。
すやすやと二人分の寝息を横に聞きながら、カカシは眠れぬ夜を過ごす。
彼はリンの額当てを空に翳しながら、オビトを想い、リンを想う。
守れなかった、守りきれなかった大切な仲間…。
―『リンを…守ってくれ…。』
最期の言葉が過ぎる。
「…オビト…。」
小さく寂しげなカカシの声が風に乗って消えていった。