第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「あ、そうだ。兄ちゃんに聞きたいことあったんだ。」
「何だ?」
いや、機嫌直してよ…。
私はちょっと及び腰になりながらも、肌身離さず下げているネックレスを取り外した。
その先に付けてあるのが、洞窟で貰った翡翠の綺麗な鍵。
前に兄ちゃんが、壊れにくい金色の細いネックレスを見つけてきてけれたんだよね。
私はそれを外して兄ちゃんに見えるように吊る下げた。
「これのこと覚えてる?」
「何だ、それは。」
そう言って鍵に手を伸ばした。
当然、触った途端にぐにゃりと形を崩して手から滑り落ちた。
「……っ!な、ん…。」
面白いくらい顔を引き攣らせて絶句した。
まさか、兄ちゃんも覚えてないとは…。
「一年くらい前にアンコさん達と虎ちゃん二人を助けたことは覚えてる?」
「あぁ…、あったな。」
「その日にこれも手に入れたの。アンコさん達に連れて行かれた洞窟で。」
「洞窟…?」
本当に全く記憶にないらしい。
「その飾り鎖は俺があげたやつだよな?」
「うん、そうだよ。多分、私が鍵を紐に吊してたから、それだと邪魔だろうと思って買ってきてくれたんだと思う。」
実際、そんなようなこと言ってたしね。
「それは何の話だ?確か、昼間もライドウ達に似たような事聞いてたよな?」
カカシ先生は不思議そうな顔をして問いかけてきた。
兄ちゃんも記憶が無いみたいだし、最初から説明してみるか。
「…なるほど、ね。」
「俺は全く覚えてないぞ?」
先生は納得したような腑に落ちないような顔をして、兄ちゃんはやっぱり洞窟のことは綺麗さっぱり忘れていて戸惑っていた。
「俺も触れないのか?」
「多分触れないと思います。」
そう言って渡してみたところ、予想通りすり抜けて落ちた。