第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「…オビトは…、俺にこの眼と一緒にリンの事を託していった。けれど…、俺が守りきれなかったから…。真っ直ぐに俺を信じていた幼い自分を捨てていった…。そうだとすれば、これを置いていった事にも納得がいく。」
カカシはリンの額当てを見つめる。
様々な記憶が蘇っては消えていく。
ミナト先生やオビトやリン…。
班で過ごした想い出やオビトの最期。
そしてリンの最期。
寂しさと優しさを綯い交ぜにした微笑と死の感触。
カカシは額当てを握る手が自然と強くなる。
「…先生…。」
ふとエニシを見ると、彼女は痛ましそうに自身を見ていることに気がつく。
唇が震える様に閉じたり開いたりしているところを見ると、言葉が空回っているのだろう。
きっと、自分を頼ったことを後悔しているのかもしれない、とカカシは思う。
オビトに会うことは叶わず、”過去の自分を捨てた”という事実だけを突きつけられたようなものだ。
ならばいっそのこと知らないままでいた方が…、とはエニシの考えそうな事だ。
「…俺は、知ることが出来て良かったと思ってるからな。大事な物も見つかったし。」
慰めるようにエニシの頭をぽんぽんと優しく撫でると、彼女は悔しそうに唇を噛む。
「だから…。これからも俺を頼ってよ。」
頼られないより頼られた方がいい、とカカシは強く思う。
彼が安心させようとにっこりと笑うと、エニシはぎこちないながらも微笑みを返した。