第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「これ、もっと剥がしたら何か出てくるかな?」
エニシはまた、よいしょ、と木を剥がし始める。
だが、それ以上は何も出てこなかった。
他のめぼしい箇所も同じ要領で探ってみたが結果は空振り。
彼女はしょぼんと肩を落とす。
「やっぱり…、もう放棄した後だよね…。」
会うことすら叶わないんだね、と呟いたエニシの声には絶望と諦めが垣間見えた。
結局、収穫があったのは額当てのみ。
三人は肩を落としてその場を後にする。
「何でリンさんの額当てだけ置いていったのかな…。」
エニシは洞窟を振り返り、誰とはなしに口にした。
彼女を見たシスイも同じように振り返る。
「…そう、だな。…決別、じゃないか?」
「決、別…?」
エニシは首を傾げるが、カカシにはシスイの言わんとしていることが何となく分かった。
「過去との決別、か…?」
カカシの返しにシスイは小さく頷くが、エニシはまだ納得しきれていないようだ。
「確か…、オビトってリンさんの事が好きでしたよね?リンさんを置いていくって事ですか?」
彼女の問いに、カカシは緩く首を振る。
「…いや、過去の自分ごと置いていったんじゃないか?」
「過去の自分…?」
カカシは友に想いを馳せて俯いた。