第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「目指してるのは医療忍者ですが?」
エニシにとってはこれも医療術の一種であるだけだ。
普通は浅く広くが主体だろうが、彼女の場合は広く深く手を広げている印象だ。
何がそこまで彼女を突き動かすのだろう、とふと思う。
何のために。
誰のために…。
不意にイタチの顔が過り、カカシがエニシを見上げると彼女の手が止まった。
「…?どうかしました?」
「…エニシはさ、医療忍者になってどうしたいの?」
何だか無性に聞いてみたくなった。
エニシが何を考え、何を感じているのか。
何が真ん中にあるのか…。
「それは…。」
エニシは驚いた顔でカカシを見返した後、少しだけ目を伏せた。
けれど、再びかち合った瞳には強い意志が浮かんでいた。
「色んな人の運命を変えたい。…かな。」
そう言って戯けたように笑ったエニシは、止まっていた手をまた動かし始めて、彼は自然とまた前を向く。
―『カカシさん…。』
何故かエニシの呼ぶ声が耳の奥で聞こえてきて、心臓が僅かに跳ねた気がした。
―…何を馬鹿馬鹿しい…。
あり得ない、と端的に思った。
十も歳が違うのだ。
釣り合うわけがない。
カカシは小さく息をついて、思考を霧散させた。