第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
手から伝わるあたたかな温もりが、血潮を通して体を巡り和らげる。
案外と全身が気づかない程度には強張っていたようだった。
手から腕へ、腕から手へと按摩が施されていくのをカカシはぼぅと見つめる。
「手は大体終わりました。どうですか?」
「ん。ちょっと楽になったよ。」
「んじゃ、次肩ですね。前向いてください。」
エニシはカカシの後ろに回ると、的確にツボをぐっぐっと押してきて、それがとても心地良かった。
滞っていた血が巡り、だんだんとふわふわとした気持ち良さに包まれる。
体がぽかぽかと温まり、自然とほぅっと息をついた。
ふと仲間を見ると、エニシの影分身に按摩され、気持ち良さそうに顔を緩めていて少し笑ってしまう。
「これはいいわねぇ。こんなに気持ちいいのは初めてだわ。」
「ありがとうございます。大袈裟な気もしますけどね。餅は餅屋って言うでしょ。」
「いや〜、これは引けを取らないんじゃないか?」
「どこで習ったんだ?」
ライドウとゲンマが口々に言うと、エニシは手を止めずにうーん、と考える。
「完全に独学ですね。人体のツボの本を読み込んで覚えてから、色んな人で試してデータを取った感じ?仕事の合間でかなりやらせてもらったから更に精度が上がったかな。」
「随分ストイックにやってるのね。何を目指してるのよ。」
呆れたアンコが突っ込むのも頷けた。
本来はやらなくても良いこと。趣味であるならば理解もできるが、エニシの場合は少し違うのだ。