第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「まぁ、抑止力になったかは分からないが。クーデターは一時中断になったぞ。」
クーデターが中断…?
それって…!
「俺とシスイで街中に噂を流したら、それが思いの外広まってな。お前が前に作ったビラも功を奏して噂が妙に真実味を増したんだ。」
イタチはそう言って少し笑う。
「特にヤシロさんが動揺したらしくて、かなり消極的になったんだ。」
あの人クロだな、と兄ちゃんも笑う。
しかも、その様子だとオビトのやった…あの九尾事件のこと知らないのかしら?
「…知らないんだろうな。オビトが何をやったのか、これから何をやろうとしてるのか。」
兄ちゃんは沈んだ面持ちで苦々しく言葉を吐き出した。
「お前が聞いたような言葉を、オビトはヤシロさんに耳障りがいいように紡いで聞かせてるんだろう。本当の目的や意図を聞かされてないのだろうな。」
イタチは力無く首を振った。
「踊らされてる、ってことか…。」
嫌だな、そのやり口…。
でも…、たとえ何も知らされてなくても。
そのせいで彼がうちは滅亡を引き寄せるのなら、きっとヤシロさんを許せなく思うんだろうな…。
「先ずは、一歩だ。ヤシロさんの動きを封じられただけでもいい幸先だ。」
「うん…そうだね…。うん、そうだよ。先ずは着実な一歩。千里の道も一歩から、だよね!」
そうよ、前向きにいかなくちゃ。
悪い方に考えても物事進まないもの。
「お前たちは切り替えが早いな。」
イタチは少し笑った。
「ねね!ついでにもう一件回ってみたいんだけど、いいかな?」
まだ少し時間もあるし、ここまで来たならね。
私は早速地図を開く。
「お前って奴は…。で、どこだ?」
「ここなの。通り道だし、ここからそんなに遠くないよ。」
「そうだな、見に行ってもいいだろう。シスイ、どうだ?」
「イタチが言うなら、しょうがないな。」
私達は、早速向かう事に。
その時、ふと違う方を見ると目に留まったものがあった。
珍しい色合いの虫。
黒のベースに少し青と赤のアクセントの入ったそれ。
一瞬だったから、その時私は気にも留めなかったんだけど。
「行くぞ?」
「あ、うん、今行く。」
気にしていれば、せめて二人に「珍しい虫見たよ。」って言っていれば…。
私はずっと後になってこの時のことを悔やむ事になる。