第15章 うちはの里を創っちゃおう 1
走って十分弱の、少し山奥に入った所が目をつけている場所。
「お〜!眺めいいねぇ!」
やっぱり見渡しサイコー!
「人の気配がなくて落ち着くな。」
「そうだな。森に囲まれて結界も張りやすそうだ。」
どうやら、イタチにも兄ちゃんにも好印象みたい。
「近くに湧き水の池あったんだよ!ここの水凄く美味しいよ!」
私は候補の中ではここが一番好きなんだよね。
「そこそこ平地部分が広いから、家も建て易いし畑もやり易いと思う。」
「そうだな。開墾にはいいんじゃないか?」
「でしょ?他の土地は街から近かすぎたり、急斜面続きだったりでイマイチの所が多くてさ。ここだったら街からも遠すぎず近すぎずだし、色々お手頃なんだよね。」
「…金なら俺も出すぞ?」
兄ちゃんからの申し出はありがたいんだけど、それには頷けない。
「まだまだ兄ちゃんにはとっといてもらわにゃ。いざって時には当てにさせてもらいまっせ。」
にっと笑うと、ちょっと呆れたように笑いながらぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
「こいつめ、調子のいい。」
聞いていたイタチもくすりと笑う。
「俺も当てにしていいぞ。仕事柄それなりに入る。」
お〜っと!頼もしいお言葉!
「んじゃ、その時はぜひともよろしくお願いしまーす!」
よっしゃ!これで心置きなく貯金をすっからかんに出来るぞ♪
「悪い顔だぞ、お前。」
「いいじゃん♪全財産つぎ込むんだもん。わはは。」
あと三、四ヶ月で目標額達成だし。
でも念の為の軍資金はほしいんだよ。
「順当にいけば、六、七月くらいで候補に上げてる所はどこでも選べるよ。お邪魔虫が入らない限りはね。」
「お邪魔虫?」
兄ちゃんの返しに頷く。
「そう。ダンゾウとかダンゾウとかオビトとか。」
「ダンゾウが2回出たぞ。」
「だって一番あり得そうじゃん?」
「オビトか…。」
イタチは気難しげに腕を組んだ。
「一番トリッキーな動きをする人だもん。」
簡単には引き下がらないだろうけど…。
それでも遠ざけられれば御の字だ。