第3章 私が今、出来る事
翌日、戻ってみると、家は半分無くなっていた。
代わりに家と同じ位の岩石が、そこに鎮座していた。
丁度、私達の部屋の辺りである。
「…これ、片付け以前の問題だよね…。」
「そうだな…。」
私と兄ちゃんは揃って唖然とする。
「ほら、ぼさっとしてないで。片付けられるところだけでも片付けて。」
母さんは、ものともしないで家の中へ入って行った。
母、強し…。
「…俺達も始めるか…。」
「そうだね…。」
何とか、午前中いっぱいかかって使えるスペースだけでも確保できた。
大岩によって生まれた隙間はビニールシートとガムテープで補強する。
「とりあえず、これくらいでいいかな。」
母さんの一言で、家の片付けは終了となった。
「俺、仲間の所に行ってくるよ。」
兄ちゃんは、そう言って玄関に向かう。
私も外の様子が知りたい。
「私もアカデミー行ってみる。」
私は、予備のリュックを背負って靴を履く。
「途中まで一緒に行くぞ。」
「うん。」
私は兄ちゃんと連れ立って家を出た。
「…あのノートあったか?」
兄ちゃんの問いに、私は頷く。
あのノートとは私が前世で見た物語を箇条書きで記したノートだ。
「誰にも見られるなよ。」
「分かってる。」
今もリュックにちゃんと入れてある。
家に置く場所が無いから持ってきておいた。
私がリュックに触れると、兄ちゃんは私がノートを持っていると感づいた。
「無くすなよ?」
「無くさないよ。」