第14章 暗部でのお仕事始めました
私は興奮がさめやらぬままにテウチさんに駆け寄った。
「今ですね、私達以外の違う声が聞こえたんですよ。ちょっと変じゃないですか?変ですよね。調べさせてもらっても」
「ナルトが起きたのかい?」
最後まで言い切る前にテウチさんが答えた。
しかも、
「な、なると?」
どういうこと?
「いやなに。夜、子供にしては遅い時間に食べに来たと思ったら、そのまま寝ちゃったもんだから。ほら、向こうの奥だよ。」
そう言って指さした先は座敷タイプの席で、明かりは落として暗がりになっている所だった。
「いつもは早く来るんだけどねぇ。今日はどうしたのかね…。」
テウチさんは心配そうに見遣った。
「あぁ、そうそう。お会計だったね。」
テウチさんは、いそいそと箒とちりとりを端に置いてカウンターに入ろうとした。
「今日ここへ寝かすんですか?」
「うちに連れてこうかと思ってるよ。さすがにここへ一人にさせるわけにはいかないからね。まぁ、可哀想だけど起こすしかないかな。」
私は座敷席に見に行ってみる事にした。
近づいていくごとに、小さな足が見えてくる。
芋虫みたいに毛布を頭から被っている塊の、頭の部分をめくってみると、確かにナルトがすやすや寝ていた。
首には、がま口財布がかかっていて、今にも絡まりそうになっている。
「紐をかけたまま寝るなよ。危ないなー。」
私はぶつぶつ言いながら、それをそーっと取ると、中身を見る。
「ビンゴ。つーか全部入ってるし。」
お金と鍵と住所が書いてある小さい札。
大事なものが一緒くたになっている。
「なんつー防犯意識の低い…。」
大事なものはリスク分散が基本でしょうに。