第14章 暗部でのお仕事始めました
「…あー、もしかして素顔?」
両手で顔を覆う私を見て、先生は勘づいたみたい。
私はこっくりと頷いてから、はっと思いついた。
「ね、ね、ね!ちょっとだけ。ちょっとだけでいいから見せてください。」
「やだよ。俺の素顔もう知ってるんでしょ?じゃあいいじゃないの。」
「いやいやいや。どうせだったら生で見たいじゃないですか。みんなの目がハートになるほどのイケメンっぷりを!」
「見てどーするのよ。大体が目がハートになんてなるわけないじゃない。面白おかしく描いてあっただけなんじゃないの?」
「だからこそ、それを自分の目で確かめたいんじゃないですか。」
「いいよ、確かめなくて。普通だから、普通。」
「普通だったら、尚の事見せてくれたっていいじゃないですか。何でそんな頑ななまでに見せたがらないんですか。隠してるから見たくなるんですって。」
「お前もしつこいね〜。見せたくないものは見せたく「う〜ん…(むにゃむにゃ)だって…」ない…。」
今なんか違う音声入ったぞ。
私達は突然聞こえた第三者の小さな声に顔を見合わせた。
「何今の…。」
だって、今私達以外誰もいないよね?
カウンターの中を覗いてみても、さっきまでいたテウチさんもいないし…。
「幽、霊…?」
「馬鹿な事言うなよ。」
そう言いつつ顔が引き攣ってまっせ。
私は試しに、テウチさん、と呼びかけてみた。
が、当然返事はない。
「…気持ち悪いな〜。ちょっと店内調べてみましょうよ。」
「いってらっしゃい。」
カカシ先生は素知らぬ顔で財布を出し始める。
おいこら、私を置いてけぼりにする気かっ!
「ちょっとちょっと?女子を一人にする気ですかっ?」
「触らぬ神に祟りなし。こういうのは放っとくのが一番。」
「そこは男気見せて、原因を探ろうって言ってくれません?」
「いやだね。俺は見ない知らない関わらないっ。」
「気〜に〜な〜る〜!一緒に点検してくださいっ!」
「おや、もういいのかい?」
入り口から箒とちりとりを持ったテウチさんが現れた。