第14章 暗部でのお仕事始めました
「あれ…、ここかな…?」
小さな呟きを拾い、ふとカカシの思考が途切れる。
「何か見つけたの?」
「あー、見つけたというか何というか…。とりあえず、中を覗けないかなって思って。」
大きな岩を矯めつ眇めつ眺めていたエニシは、岩の下側に手を当てて構え始めた。
その両目には赤い三つ巴が浮かんでいる。
おそらくは写輪眼で何かを見ているのだろう。
カカシは覆っていた額当ての布を上げて写輪眼を出した。
そして、エニシの隣に並ぶと彼女の目線と合わせた。
「何が見えてるの?」
カカシの目には特段変化は見られない。
ただの岩山だ。
カカシの言葉を聞いたエニシは作業を止めて彼を見る。
「うーんと、口頭で言うのはちと難しいんですけど、目をちょっと凝らす感じでチャクラの流れを見れますか?えーと…」
言いながら身振り手振りで伝えようと頑張るエニシに、カカシも懸命に読み取る。
「あー、これか。なるほどね、こうして使うのか。」
写輪眼の動体視力の方は使い熟せていたが、それ以外は発展途上。
特に幻術は奥深く、万華鏡には遠く及ばない。
それでも、カカシには聞ける人がいない中での独学である。充分大健闘だと言えるだろう。
「それでここを見てみると、チャクラの残滓があるの見えます?薄らと子供の大きさくらいの。」
「…確かにあるな。」
カカシは訝しげに目を眇めた。
大岩の下に極薄いチャクラの跡のような楕円形の影がある。
他の場所には見られない不自然なチャクラ残滓だ。
すると、エニシは再び構えて何かをしだした。
見ていると、彼女の両手から岩に沿ってチャクラが流れ落ちていく。影が伸びていくように、ゆっくりと下へ。オビトと思われる跡に向かって。
「ふぅぅ〜…。」
エニシの方を見ると、彼女の額から汗が一つ、二つ、と流れていく。
相当に体力を消耗する技らしい。
やがてチャクラは一番下まで到達し、チャクラはオビトの影を飲み込む様に包み込む。