第14章 暗部でのお仕事始めました
「…今から?」
「はい…。やっぱりダメですか?」
「何の話?」
噂をすれば影がさす。
これって本当に言い得て妙だよね。
「カカシさん。それが…。」
夕顔さんは困ったように私を見て言葉を濁らせる。
それを見たカカシ先生は、大きくため息をついた。
「…聞こえたよ。班行動は暗黙の了解、でも別行動取りたいってことでしょ。」
規則違反、かな。やっぱり。
兄ちゃんに一緒に来てほしかったけど、それどころじゃなさそう。
「ま、でも。何をしたいかを明確にすればやぶさかでもないんだけど。」
じっと見下ろす目は、私の知ってる先生じゃなくて暗部のそれだった。
少しぞくっとする。
でも、それで怯むくらいだったら、今頃私はここにはいない。
「行ってから考えます。見て、感じて、何があるか、残ってるか…そこで判断します。」
私は感情を隠せない。
でもその分、真っ直ぐ向き合うことが出来るし、真っ直ぐ伝えられる言葉を知ってる。
私の目をカカシさんは真っ直ぐに見定めると、ふぅと小さく息をついた。
「こりゃ止めても止まらなそうだね。」
「カカシさん…?」
夕顔さんが、まさかといった感じでカカシ先生を呼ぶ。
「ま、今回は特別って事で。」
やったー!
「ただし、俺が同伴するのが条件だ。」
…え?
「…兄ちゃんは?」
「シスイは夕顔と帰還ね。俺はお前の引率。」
ええぇぇ!!
困る!!
困るって言えないんだけど困る!!
「…ふーん、やっぱり含むところでもあるの?」
じとぉーっと見てくるカカシ先生に、慌てて首を振る。
「滅相も…ない。」
あるんだけど…。
「お前、本当に何しに行きたいの?」
言えない…!
だってある意味ご本人…!
私はそろーっと目を逸らす。
「行ってから考えます…。」
「…お前も大概頑固だね。」
カカシ先生は半ば呆れたように腰に手を当ててため息をついた。