第14章 暗部でのお仕事始めました
「カカシさん達を呼んでくるから、エニシはここにいて。動いちゃダメよ、いいわね?」
「あ…はい。」
迫力に押される形でとっさに頷くと、夕顔さんは集合場所方面へ駆けていく。
……。
でもねぇ…。
待てって言われてももの凄い気になるんだよねぇ。
だって…、異様な距離の近さでイチャイチャしてるみたいな動きだし。
何より、多分人影から言って男で…。
「これってやっぱり…。」
ゲイなんじゃ…?って思うわけよ。
しかも、話にしか聞いた事がない禁断の関係。
とくりゃあ、覗くしかないっしょ!
抜き足…差し足…忍足…。
そおっと…そおっと…、バレないように…。
あ、ちょっと声が聞こえてきた。
…やっぱり男だ。
会話から察するに…将来の事、か?
里に帰ってからの事?
あらら、別れたい別れたくない的な話?
(お前、何やってるのよ…。)
カカシさんの小声に振り向くと、みんな揃ってた。
思ったより早かったのね…。
ってそんな呆れた目をしなくてもいいじゃん?
カカシ先生来たって事は捕縛にかかるかな。
でも、もうちょっと盗み聞きしたい。
(ちょっとだけ。ちょっとだけでいいから時間ください。)
私はカップルの方を指さしながら小声言うと、カカシ先生はため息をつく。
(聞いてどうするのよ。)
(だってゲイって初めて見るし。どんな風なのか気になるんですもん。いてっ。)
言ったら、兄ちゃんにデコピン喰らった。
(どこでそんな事覚えてくるんだか。だいたい、それで勘づかれて取り逃したりでもしたらどうするつもりだ。)
(大丈夫でしょ。兄ちゃんだってカカシ先生だっているんだし。敵なしだよ。)
正直に言っただけなのに、二人とも奇妙な顔つきになった。
(…お前の中で俺って…。いや、それよりも…)
カカシ先生がごにょごにょ言ってるのを聞き流しつつ、カップル二人の会話にそば耳たてると、なんかヒートアップしてた。
うーん、よく聞こえない…。