第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
前を歩いていた私は振り返った。
「ここでいいよ、ありがと。」
よその人を入れた、って指さされるかもしれないし。
私はいいけど、トウキを巻き込みたくない。
でも、トウキは少し俯き加減でぴたっと止まってしまう。
どうしたんだろう…。
「…俺さ…、その…。お、お前が好きだ!」
…突然どうした?
「うん…、私も好きだよ?」
返しに困って若干棒読みになった。
それがいけなかったのか、トウキは大きくため息をついて額を押さえた。
…だって告白みたいなんだもん。
「俺は、だから…、お前と付き合いたいって、恋人になりたいって思ってる。」
「……。……はい!?」
まさかの告白だった…。
「え、あの…え!?」
いつから!?
「…やっぱりお前、全然気づいてなかったのな…。」
しょんぼりしてしまった。
…ごめん。
「アカデミー入ってすぐの頃からずっと…好きだった。」
アカデミー入ってすぐ…。
「うっそだ〜。いじめられてた記憶しかないんだけど。」
トウキってジャイアンみたいにガキ大将で、いっつも子分引き連れてたイメージだもん。
「いじめてねー!!あれは…!その…、好きってことが…分からなかったっていうか…、だから…。ど、どうしていいか分からなかったんだよ!!」
…つまり、テストを取られたり、やたら絡まれたり追いかけられたりしたのは、好きだったからだ、と。
…あれか?好きな子ほどいじめたくなるという、男の子特有のあるある…。
「ひとの事言えないけど…難儀な性格だったんだね…。」
「本当にお前にだけは言われたくねぇ!!」
「ふはっ、確かに。」
私がくすくすと笑い出すと、トウキの様相が崩れて笑みに変わっていく。
それは次第に大きくなり、二人して腹を抱えて笑い出した。
ひとしきり笑ってから、はぁ、と大きく息をつく。