第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
他愛もない話に花が咲き、思い出話で盛り上がった。
「じゃあ、そろそろ帰ります。」
一区切りついたところで私は席を立つ。
そしたら、トウキも一緒に立ち上がった。
「…俺も帰るわ。」
「あぁ、うん…。ユウはどうする?」
「あー…、俺はもうちょいここにいる。」
「分かった。」
ユウと先生とはここでお別れ。
「じゃあ、また…いつか。」
「おう、待ってるからな。」
「みんなで待ってるよ。」
「…うん。」
絶対戻って来る。
その為に精一杯をしよう。
私は密かに誓いながら先生の家をあとにする。
分かれ道に差し掛かり、トウキともここでお別れかと思ったら、何故か彼は送る、と言い出した。
否やもなかったので二人でうちはの地区まで歩くことに。
二人で町並みを眺めながら無言で歩く。
ここで呼びかけよくやったなぁ、とか。
ここではアカデミーの頃からよく立ち寄ってたなぁ、とか。
トウキ達との思い出もずいぶん増えたなぁ…なんてしみじみ思ったりして。
特にトウキは付き合いが長かったし、たくさんお世話になった。
呼びかけもそうだけど、修行に付き合ってもらう事も、放課後一緒に勉強する事も多々あった。
最初の頃からは考えられないくらい、親友みたいな仲になったよね。
そういう意味で言ったら、トウキも少なからず離れがたいと思ってくれてんのかな?
ちらっとトウキを盗み見るも、彼はむっつりと黙り込んだまま話す気配はなく…。
私も切り出すこともないので、そのまま無言を通す。
店や家が閑散としだして、やがて人の気配はなくなった。
無人の道に私達の足音だけが聞こえる。
風景を見ながら歩いていると、うちはの裏門に差し掛かった。
最近は人目を気にして正門から入らない様にしていた。
毎日睨まれるのも気が滅入るしね。
ちょっとした舗装の良くない細い道を入っていくと、一番初めに着くのがうちはのシンボル、南賀ノ神社。
昼は人通りが滅多になく、鬱蒼とした木々に守られるようにひっそりと佇んでいる。
そこを抜けると居住区になる。