第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「私さ、暗部でやりたい事あるの。」
「…もしかして、一族の事か?」
本当に、トウキはよく見てるよ。
「まあね…。今の立場じゃ限界があるから。」
「そんなに状況が悪いのか?」
「…どうだろ。まだ何にも分からないから何とも言えない。それに、何が出来て何が出来ないのかも、どこまで知れて、どう変えられるのかも分からない。」
それでも、今まで知れなかった事が調べられるだろうし、うちはオビトの情報も手に入るかもしれない。
里全体の総意を知ることができれば、或いはうちはの里計画だってすんなり行くかもしれない。
全部"かもしれない"っていう仮定の話。
「…それって、危険なのか?」
ユウが心配そうになった。
私の特別上忍の待遇は、公正だけど特別措置の部類だって分かったみたい。
「危険は、うーん…。まぁ、暗部の仕事なんて危険と隣り合わせは当たり前だよ。」
楽な仕事なんてないよ、きっと。
「…もし、失敗したら…。」
「そりゃまぁ、ただでは済まないだろうけど。でも危険でも近道しないともう後がないんだよ。」
もういつ"その未来"がきてもおかしくはないからね。
それを避けるための暗部入りだもん。
「エニシ…。」
しょぼんと肩を落とすユウの肩をポンポンと宥める。
「まぁ、同窓のよしみだと思うならさ、祈っててよ。」
「祈る?」
「そ。私のやりたい事が成功しますように、ってさ。」
「暗部でやりたい事をか?」
トウキの言葉に、にっと笑って頷く。
「そう。そしたらきっと、私またここに戻って来れると思うんだよね。」
私の言葉に、二人が目を瞠る。
「お前、そのまま暗部にいないのか?」
「やだよ。私、やりたい事が終わったら暗部の肩書き返上するから。一生なんてやれないよ。」
やだやだ。
そんな所で重圧を背負う毎日なんて一生かけられないし。
「じゃあ、戻ってくるな?」
ユウの嬉しそうな声に、にっと笑う。
「うん、いつかまた戻ってくる。」
真ん前に座っていた先生は、その言葉に嬉しそうに笑った。
「じゃあ、俺たちはエニシを待ってるよ。思う事を思うままにやっておいで。」
「うん、ありがとう。先生。」
私は感謝の気持ちが伝わるように精一杯笑った。