第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
出してもらった麦茶を一口もらって、とりあえず事のあらましを説明する。
って言っても、伝書鳥の通りなんだけど。
ついでに何で二人がここにいるのか聞いたら、私だけがカカシ先生に連れてかれたから何らかの昇進の動きがあると踏んでたんだって。
で、ナナホ先生ならその連絡が逸早く来るだろうからって待ち構えてたそうな。
…私は全く逆の可能性を考えてたってのに。
「スケアさんって、お前が前に言ってたカカシ先生だったんだってな。」
「え、いつ気づいたの?」
「ナナホ先生から聞いたんだよ。最初からお前の査定で来たんだろ?」
「そうなんだって。私もさっき行く途中で気づいてびっくりだった。
兄ちゃんが上奏してくれたみたいでさ。うちはだからって偏見の目で見られないように厳しく公正にって。」
「お前の兄貴すげぇ地位にいるんだな。」
トウキがしみじみ言うもんだから、苦笑するしかない。
「そんな大それた地位にいるわけじゃないと思うよ。偶々だよ。」
「そうだね。カカシさんも気が向いたんだろうよ。頼んだからって簡単に引き受けてはくれないって話だし。それに前々からエニシの事は知ってたみたいだよ。」
「そうなんだ…。」
何で知ってたんだろ…?
「兄ちゃんにはね、元々暗部に引き抜いてもらう約束してて、ここ最近はみっちり修行もつけてもらってたの。」
「だからあんな速く走れたのか。」
「あの距離であの速度でもお前ピンピンしてたもんな。」
ユウとトウキが揃って頭をぐしゃっと掻きむしった仕草がそっくりでちょっと笑えた。