第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
玄関から外に出て、それぞれ歩き出そうとしたところで、兄ちゃんはカカシさん、と呼び止めた。
「今日は、ありがとうございました。」
兄ちゃんが頭を下げたので、隣にいた私も倣って頭を下げる。
けど、何がありがとうなのか私はさっぱり分かってない。査定でいい評価をしてくれたからかな?
「いや、こちらも助かったよ。君のおかげで連れてくる時に手を焼かなくて済んだ。」
…それ、物申していいですか?
素直に教えてくれれば私だって子供みたいにごねなかったし!
っていうか、兄ちゃんまた余計な事言ったな!?
「町中で上忍の査定やら暗部やらの話なんて出来るわけないでしょ。機密はしっかり守らなきゃならないんだから。」
…あぁ、私の情報も機密事項に入るの?
特別上忍からの暗部だから?
「ま、そういうこと。明日から頑張れよ、新入り。」
「そらもう、頑張らせていただきますとも。」
でも、何となく釈然としないような…。
「俺がカカシさんを査定員にって頼んだんだ。一番"公平"に厳しく査定してくれる。だからこそ、いい評価の場合はお墨付きになる。」
「だから、"ありがとうございました"!」
繋がったわ。
カカシさんを見ると苦笑していた。
「改めて、ありがとうございます!これからよろしくお願いします、先輩!」
にっと笑って言うと、カカシ先生は困ったように見せながらも少し嬉しそうに頬をかく。
「調子いいね、まったく。」
「俺も、よろしくお願いします。先輩。」
「兄弟揃って似たもの同士というか…。ま、仲良くやろう。任務でまた頼むよ、後輩君。」
カカシ先生はそう言って片手を振って歩いていった。