第3章 私が今、出来る事
「そうだな。だからこそ、その情報は慎重に扱えよ?」
シスイがそう言うと、エニシは再び肩を落とした。
「手紙、書きたかったな…。」
ぽつりと言うと、エニシはため息をついた。
シスイは腕を組んで考える。
もっと間接的に、けれど九尾だけが分かる様な…。
「…エニシは何が一番伝えたいんだ?」
「クシナさんとミナトさんを殺さないでほしい。」
「だから、それはダメだろ。直接的過ぎる。」
「じゃあ、あの親子を守ってほしい。それがダメならナルトだけでも守ってほしい。」
エニシはナルトが九尾と共闘する所を思い出す。
九尾は、ナルトの優しさに触れ、心を開いて絆を結んでいった。
ナルトだけは他とは違うと感じたからこそ、共闘出来たのだ。
「ナルトはね、九尾の力を引き出せる唯一の子なの。クラマさんはきっとナルト以外を受け入れない。ナルトだから絆が出来た。」
エニシはシスイを見る。
「クラマさんにはナルトを信じてほしい。」
シスイは困った様に笑った。
彼は、エニシほど九尾に心を寄せられない。
それは、九尾を見た事もなければ会った事もないからかもしれない。
「分かった。俺が文面を書いてやる。」
シスイがそう言うと、エニシはぱぁっと嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ありがとう!さっすが兄ちゃん!」