第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「そうか…。サスケの未来は書かれていたか?」
大人になってからって…意味だよね。
もちろん…、全部知ってる。
だからこそ、言えない。
もしも、予定調和の未来を辿ったら、うちはは滅亡。そして、イタチはサスケと戦って死ぬ。
それが、イタチが望む事だって分かってるけど…。
それでも、私はそれを止めたいと思ってる。
兄ちゃんと一緒に、絶対に。
何が何でも、兄ちゃんにも生き残ってもらう。
だから…。
だから今、ここで…、それを知られたくない。
イタチのことだから、きっと勘付いて止められちゃうから。
「…ナルトの話って、途中までしか読んでないの…。ナルトが下忍になる少し前から、自来也様と里の外で修行するまで。その時に、サスケが里を抜ける事は知ってるけど、その後を…知らないんだ。」
ごめんね、言えなくて…。
「ごめん…。」
目を見れなくて俯いた。
「いや…、いいさ。サスケは無事に育っていく。それだけでも分かれば、それでいい…。」
ぽんぽん、と肩を叩かれ、私は唇を噛む。
「それも、クーデターを止めれば起こらない未来となる。」
兄ちゃんが普段と変わらない口調で言うと、沈んだ空気が霧散していく。
兄ちゃんって、こういう所凄いなって思う。
「だから、やるぞ。うちは移住計画。そして、暗部入り。」
「あぁ…、そうだな。」
イタチは短く息を吐くと、強張っていた肩の力を抜いた。
「絶対いい土地見つけるんだから。んで、うちはの里を作る!」
「俺は暗部で情報をかき集める。」
私とイタチは意気込んだ。
「俺達も追いつくからな、暗部入り。エニシと一緒にお前を支える。」
兄ちゃんが言うと、イタチが驚いた様に私を見た。
「そうだよ?私だってやれる事はやりたいもん。だから兄ちゃんに引き抜いてもらうの。」
絶対に一人だけでなんて背負わせないから。
イタチは兄ちゃんと私を見比べると、ふわっと微笑んだ。
見た中で一番優しい顔。
こっちまで嬉しくなる。
「あぁ、待ってる。」
イタチは嬉しそうに言った。