第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「恨んだところで何も変わらないって気づいてほしい。ただ疲弊して破滅するだけだって分かってほしい。」
「…うちははクーデターを起こしたことも書かれているのか?」
その問いに私は首を振る。
「失敗するよ。暗部が全部把握してるから。」
「…その先に待つのは、全滅、なのか?」
私は頷いた。
「…サスケを残して全滅する。」
その答えにイタチは大きく目を見開いた。
そして、私の思いもよらぬ答えに辿り着く。
「…その引き金は…俺だな?」
問う割には断定的で、確信があるみたいだった。
私も私で馬鹿だなって思うのに、隠せなかった。
イタチは困った様に笑う。
「そんな顔するな…。」
「どんな顔よ…。」
「今にも泣き出しそうだ。」
ゔぅ、自分のこの癖が恨めしい…。
「何で分かったの…?」
「これから俺は暗部に入るが、皆が言う様な橋渡しの役割は難しいだろう…。」
私は相槌を打つ様に、こくんと頷く。
実際にはイタチは二重スパイを余儀なくされた。
うちはとしての二重スパイじゃない。里としての二重スパイとして。
「ならば辿る道は自ずと絞られる。クーデターの失敗、うちはの全滅、生き残るのはサスケのみ…。俺の取りそうな選択肢だ。」
イタチは寂しそうに笑う。
「私は…、そうなる前に止めたい。イタチだけに傷を背負ってほしくない。」
でも実際には、私の出来た事なんて限りなく無くて。
出来たことと言えば焼石に水をかけたくらい。
これが予定調和なんだろうか、なんて薄ら寒く思う時もある。
でも、まだ諦めたくないし、諦められない。
「そうだったんだな…。漸く、お前が見ている世界が見えた。納得出来たよ。」
イタチは朗らかに笑んだ。