第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「カカシ先生の生い立ちや、先生の持ってる写輪眼の経緯、これからどう過ごして誰と会うのか、”誰の先生になるのか”。それが物語になってたの。」
イタチは目を瞠った。
「といっても…、カカシ先生は主人公じゃないよ。主人公はね、ナルトなの。うずまきナルト。」
「あの子が…。ならば、カカシさんはナルトを含む下忍を受け持つのか?」
「さすが、勘がいいね。カカシ先生の班はね、ナルトとサスケとサクラちゃんって女の子。」
私の好きな、第七班。
「そうか…。」
イタチは少し嬉しそうに口元を緩める。
それは少しの間で、再び顔が引き締まる。
「死んだと思っていたうちはの生き残りは…、うちはオビト、か?」
私は思わず息を呑む。
それを見て、イタチは苦笑した。
「当たり、だな。」
「はあぁぁ〜…。」
これまた思わず片手で目元を押さえた。
「勘が良すぎるって…困る。」
「考えれば分かることだ。」
「ちょっとのキーワードですぐ分かっちゃうんだもんな〜。迂闊にしゃべれないよ。」
私には無理な芸当だわ。
「エニシは…、うちはオビトを止めたいか?」
その問いにイタチを見ると、真意を探る様に私を見つめている。
うーん…、どう答えよう。
「オビトはね…、私が逆立ちしたって歯が立たないくらい強いし、きっと声も届かない。」
あの人は、大事にしていた子がいない世界に絶望して全てを恨んでる。きっと。
だから、今大事な人が傍にいてくれる環境にいる私の言葉は多分詭弁にしか聞こえない。
私も、届くだろう言葉を持ち合わせてない。
だけど…。
「あの人が振り撒く怨嗟が、うちはに及ばないようにしたい。侵食されきってからじゃ…遅いから。」
兄ちゃんが…、いや、うちはが暴走してからじゃ遅いんだ。