第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「それで…。前世と言うからにはそこでは死んでしまったのか?」
「まあね。名前は藤崎由紀で、享年十九歳。もうすぐ大学生っていうウキウキの最中に車に撥ねられてそのまま。」
「大学生?車?」
「私のいた国では、小学校、中学校、高校、大学って順を追って教育の過程を踏むの。小学校、中学校は基礎って感じかな。高校は応用。大学は専門分野ごとに違う…と思う。
車ってのは…、今だに説明が出来ないんだわ。動く荷車とでも思っておいて。」
そう言うと、イタチは黙って頷く。
「国が違うと言ったな。」
「うん。」
「ならば、いつかの日に話していた、遠い異国の坊さんの話もそうなのか?」
言われて、はて?と首を傾げた。
遠い異国の坊さん…?
「”暴君や殺戮者は一時無敵に見える。だが、歴史を見れば最後に勝つのは愛と真実だ。”」
「あー、ガンジーか!マハトマ・ガンジー。ってか、よく覚えてるね。」
お見それしました。
だってもう三、四年前の話だよ?
それも一度話したきりの事。
「それも、確かに前世のことだよ。異国のお坊さんの話。」
イタチはそうか、と言って言葉を切った。
何かを考える様に、顎に指を当てる。
そして、ふと顔を上げた。
「カカシさんのことを先生と呼ぶのは何故なんだ?」
「あー…。それね…。」
イタチって、物語にちょいちょい出てくる事が多い人だった。
そりゃそうだよね。
サスケのお兄さんだし。
そのサスケはナルトの親友(?)だし。
どう話そうかな…。
「これはもっと信じられない話かもしれないんだけどね…。物語として、この世界のこと知ってたの。」
「どういうことだ?」
怪訝な顔をするイタチ。
そりゃそうだよね、意味不明だよね。
とりあえず、カカシ先生にフォーカスを絞るか。