第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
最近、背丈がぐんぐん伸びるトウキは見上げるくらいに高い。
それなのに高く掲げられたら当然届かない。
くそー。
「よーし、決闘といこうか。」
私はダン!と片足を踏み込んだ。
「やんのか?」
トウキはにやりと笑う。
「おうよ。」
喧嘩は売られたら買うのが常識ってね。
(そんな常識はありません…。)
見合って見合って〜…。
じりっ…
動いた!
「「影分身の術!」」
二人同時の影分身。人数も二人と互角だ。
互いの影分身は目の前で取っ組み合いを始めた。
でも、こっちは隠し玉を仕込んである。
最後の印を組み、術発動。
土遁、土凌枷!
トウキの足元があっという間に覆われた。
ふふん♪
さっき踏み込んだ時に仕込んだのよ。
「なっ…!」
トウキの体勢は前のめりに崩れ、自然に両腕も下がった。
そうなればこっちのもんよ!
「取った!」
楽勝〜♪
トウキは、悔しそうに自力で足を引っこ抜く。
「くそっ…!」
「忍なら裏の裏を読め、ってね♪」
カカシ先生のセリフを得意気に言う。
きーもちー(笑)
そう言ったらトウキは怪訝そうにし、イタチは首を傾げる。
「それ誰が言ったんだ?」
「カカシ先生よ。」
未来でだけどね。
「カカシ先生…?そんな先生いたっけか?」
「カカシさん、が…?」
あ、そうか。
そろそろイタチは暗部入りって言われてたんだっけ?
そして現在のカカシ先生の所属も暗部…。
やべっ…。
「ま、ともかく。この勝負、私の勝ちだね。」
ドヤ顔で言うと、トウキの顔が悔しそうに渋くなった。
「くっ…、次こそは…!」
「いえーい!」
何勝何敗だかもう覚えてないけど、私の勝ち星が多いことだけは確かだね。
「覚えてろよ!次は勝つからな!」
トウキは捨て台詞を吐いて去って行く。
その毎度お馴染みのセリフを聞いて、私は手を振りながら笑った。
「トウキって負け台詞は決まってアレなんだよね。面白いでしょ。」
すごいテンプレなんだよ。
チンピラ風っていうか、漫画風っていうか。