第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
……。
えぇぇ〜!!!
何で〜!!?
「大丈夫か?」
心配そうに顔を覗き込んでくるイタチに、こくこくと何度も頷いた。無言で。
恥ずかしい〜…。
けれど、それで終わらなかった。
そのままぎゅっと抱えられたと思うと、次の瞬間にはそこから飛び降りた。
反射的にイタチにしがみつく形になったのが、尚のこと恥ずかしい。
アンコさんじゃないけど、私乙女ってタマじゃないんですよ、本当。
身の置き所がないわけよ。
嫌なわけじゃないんだけど、身悶えするほど恥ずかしい。
…ってこれじゃ只々恥ずかしい言ってるだけだよね。
でも何て言っていいか適切な言葉が出てこない…。
「どこか痛いのか?」
ゆっくりと地面に下ろされながら心配そうに聞かれて、益々黙りこくる私。
「顔が赤いぞ?我慢してるんじゃないのか?」
あぁぁ、ほんと…。
こういう時に表情を隠せないって損だと思う。
「あの、だ、大丈夫、だから。全然、どこも、大丈夫。痛くない。だ、大丈夫。」
「我慢はするなと、お前も言ってたじゃないか。」
ブーメラン!
変なところで返ってきた!
うぅぅ…。正直に話すしかない…。
「だ、たから…、その…、さっきのやり取りがちょっと…、気恥ずかしかったっていうか…、その…。」
私がもじもじと白状すると、何故かイタチが少し気落ちする。
「…触れたのはまずかったな…。」
「何故にそうなる!?」
思わず叫んで、はっとする。
「違う違う…!そうじゃなくて、本当に。その…、慣れてなくて。嫌とかじゃないの、本当に。」
必死で言うと、少しほっとした様にイタチの肩の力が抜けた…様に見えた。
本当に分かりづらいけど。
「あの、ね。助けてくれて、ありがと。嬉しかったよ。」
にぱっと笑って伝えると、少しはにかんでくれた。
「どういたしまして。」
声色が嬉しそうなのは気のせいじゃないと思う。