第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「じゃあ、今日はこれで。今度は三日後の今日と同じ時間で、ここに集まろう。」
「「「はい。」」」
「解散。」
先生の号令で、私達はそれぞれの方向に歩き出す。
中心地に近いここからだと、トウキとユウとは丁度反対方向になるから、必然的に一人になる。
まぁ、その日によってはその場に留まって話ししたり、寄り道したりするけど、今日はお互いにそんな話は出ず。
もうすぐ三時になろうか、という時刻。
疲れてるんだけど、このまま帰る気にはなれないんだな。
「どーすっかなー。」
どこ行こう。パート2。
修行場に行けばいいんだけど、ここ最近の寝不足と兄ちゃんからの容赦ない扱きに体力が限界突破。
今日くらいはぼーっとして過ごしたい。
袋から山分けした林檎を一つ取り出し、また齧り始める。
しゃりしゃり、もぐもぐ…。
人目を避ける様に林の中を通る。
日差しは適度に入るから、明るいし暖かい。
小川を幾つか跨いで、積まれた丸太の横を通り過ぎ、林を抜ける。
気がつくと断崖エリアに来ていた。
「おおぅ…。」
見上げるとロッククライミングしている人が一人。
それも右手を背中に回してハンデを作るストイックぶり。
「あれ…?」
銀髪じゃない…?
「まさか…カカシ先生…?」
すっごい小声だったにも関わらず、その人がふっと振り返った。
(顔は遠くてよく見えない。)
「え。」
まさか聞こえたとか…?
まさかねぇ。
と思ってたら、じっと見下ろしてたその人はハンデをやめて普通にするするっと登っていき見えなくなった。
で、それきり降りてくる気配もない。
…もしかしたら、ここってカカシ先生の修行場だったのかな?
「悪いことしたな…。」
うーん…。
あ!そうだ。
今日林檎持ってたんだ。
「確かハンカチが…あった。」
広げて広げて、林檎を二つ置いて…、よし。
気づくといいけど。