第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「…でたらめ言ってんじゃないよな?」
「誤魔化そうったってそうはいかないからな。」
「本当に見た!」
君達疑り深過ぎるよ…!
「まあまあ。でもなるほどね、一回見た事あるんじゃあれだけスムーズに出来るのも頷ける。知識として知ってるってだけだとどうしても後手に回りやすいからね。」
先生の言葉にホッとする。
んで、ほら〜と二人を睨むと渋々ながらも納得した様子を見せた。
「そういえばエニシ、今日随分と眠そうだったね。何かあったの?」
ナナホ先生の言葉に、あぁ、それね…、とため息をつく。
夢の事を思い出すと、自然と鬱々とするんだよね…。
「まあ、夢見が悪くて中々寝付けなかったってところ、ですかね。」
「何か悩み事でもあるのかい?」
心配そうな様子に慌てて首を振る。
「いやそういうのじゃなくて。悩み事は何にもないですからご心配なく。」
「それはそれで問題だけどな。」
「大きなお世話ですー。」
じゃなくて。
もー!トウキが余計な事言うから!
「何だかよく分からない夢を見て、そのせいでよく寝れなくて。だから悩みとかじゃないです。単純によく眠れないだけ。」
「本当に?」
「ほんとほんと。」
先生の念押しに、うんうんと首を縦に振る。
その様子が頑なに見えたのかなんなのか、先生は困った様に少し肩を落とした。
「何かあったら必ず誰かに言うんだよ?俺に言いづらかったらそれでもいいから、決して一人で抱え込んではいけないよ?」
「…大丈夫ですよ。心配しすぎですって!何かあったら真っ先に先生に相談しますから。」
にっと笑うと、先生もほっとした様にはにかんだ。
私って人運は恵まれてると思うんだ。
「…何にまにましてんだよ?」
「別に〜?」
トウキにだって言いたい事言い合って。
でも、ぎくしゃくするわけでもなし。
いい関係だと思うんだ。
人徳かなぁ〜。