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もう一度、を叶えるために。first

第13章 変わりゆく日常と濃くなる影




しゃりしゃりとした音が帰り道に響く。
林檎おいし〜。
火のそばにいたせいか喉が乾いてたみたい。
甘くて爽やかな香りが体いっぱいに広がる気がする。

「君は変なところで物知りだねぇ。」

「私の事?」

もぐもぐしゃりしゃり言いながらナナホ先生を見上げると、彼は笑いながら、そう、と答える。

「みんなが知ってそうな事を知らなくて、みんなが知らなそうな事を知ってる。あれはどこで知ったの?」

ぎくっ。

「あれは…。」

どう言えばそれっぽいかな…。
本で読んだ?そんな本図書館に置いてあるのかな。
おばあちゃんの豆知識?そもそもおばあちゃんいないし。
家族旅行で?そもそも忍一家で旅行って概念ないし…。

ふと気づくと林檎のしゃりしゃり音が止んでて、しーんと静まっていた。
そして、痛いくらいに注目の的!

「えーと…。」

ごくりと唾を飲むトウキとユウ。
期待しすぎだよ、二人とも。

「前に…、兄ちゃんと二人で里の外にお使いに出たことがあって…。」

「お前の兄貴、そんな事するタイプじゃないだろ。」

うっ。さすがトウキ、ツッコミが早い…!

「まあ、そうなんだけど。偶々そういう事があって。暇だから一緒について行ったの。」

小さい頃に、多少そういう事はあったにはあった。
里の外は一回もなかったけど…。

「お前、面倒事嫌いじゃん。それに暇さえあれば医学書…」
「だあぁ〜!だから偶々なんだって!」

本当によく知ってらっしゃる!
トウキって人のことよく見てるよね。

「まぁとにかく、その時に野焼きを見る機会があって。それで聞き齧りだけど原理は知ってたってところかな。」

ふう〜。
なんとか纏まった〜。

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