第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「びっくりしたよ〜。最初火事かと思ったから。はい、これ差し入れ。」
手前にいたナナホ先生に袋を渡すと、ふぅ〜、とおじさんは一息入れる。
「近所の女将さんから火事だよ〜!って聞いて急いで来たら君達が煙の向こうに見えてね。見事に野焼きされてるから驚いたなぁ!」
「ははは…。そうですか…。」
先生は乾いた笑いを溢しながら遠い目になる。
どうやら依頼主さんらしい。
「本当はこうして野焼きにしたかったんだよ。だけど専門の人を雇わないといけないから結構費用が嵩んじゃってね。泣く泣く諦めてたところだったんだ。いや〜、君達にお願いして良かったよ〜。」
ようしゃべるおっちゃんや…。
「これね、僕の所で取れた林檎。中は蜜たっぷり、実はジューシーでしゃりしゃり。おいし〜よ!」
うは〜!うまそ〜!
「今日は持てるだけ持ってきたからみんなで分けてね。また何があった時は君達にお願いするよ。今日はありがとね〜!」
忙しいお人らしく、言いたいことだけ言ってまた行ってしまった。
「これじゃあ、怒るに怒れないね…。」
ナナホ先生はがっくりと肩を落とした。
が、ぐっと腹に力が入りキリッとした顔を起こすと、私達を見回す。
「今回は”偶々”、”偶々”上手くいったけど次も上手くいくとは限らないからね。こういう大きなことをする時は絶対に俺に相談してからやってね。」
「「「…はい…。」」」
めっちゃ釘を刺されました。