第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
全員でもう一回影分身を出し、手分けして溝を広げていく。
早くしないと風上からの炎に追いつかれちゃう。
「終わったぞ!」
トウキとユウから声が上がった。
こっちもあと少し。
後ろの炎を気にしながら最後の束を刈り取る。
「こっちも終わった!」
私は持っていた枯れ草の束を炎の中に投げ入れるとユウの所に戻っていく。
「今度は水撒きだ。」
「分かった。」
ユウが水鉄砲で風下の溝に水を撒き始めたのを見て、ふと向こう側が気になった。
「私、風上側確認してくる。」
「あぁ。」
火の粉が広がったら大変だからね。
見にいくと、燃え切ったはずの草むらから、パチパチっと時々火の粉が上がって周囲に弾け飛んでいる。
これが火種になったら…。
向こうを見ると、ユウはまだ風下の水撒きに追われている。
残存のチャクラを考えたら、こっちにまでは手が回らないかもしれない。
さて、どうしようか…。
前世では。
学校とかには火事に備えて防火扉が設置されてた。
消化器で間に合わなければ火の手が回らない様に防火扉で遮断する。
それで言えば私にはそれに近い物を作り出せる力がある。
「土遁、土流壁!」
特に火の粉が多い所に低く広く壁を建てるイメージで。
ちょっと高さはあるけど、いけるかも。
今度は影分身にも協力してもらう。
「「「土流壁!」」」
よしよし。
風上の火の粉は、暫くこれで防げるぞ。
あとは風下が無事に鎮火すれば完了だ。
結果、野焼きは見事大成功!
「やったー!」
「「何が”やったー”だ!!」」
「さーせん。」
もろ手挙げては喜べませんでしたとさ。